続・拗らせDKの偏った溺愛
応援合戦です!
騒然とした体育祭らしからぬ雰囲気を醸し出しつつも、グラウンドでは先生方と実行委員長による必死のプログラム進行が功を奏していて、なんとかかんとか競技が進められています。
そろそろ体育祭の目玉のひとつ、応援合戦が始まるようです。
これは唯一、全校生徒参加型の競技です。
各クラスには5名からなる応援団が体育祭のために結成されています。
普段の制服とは違う丈の長い学ランを着て、額に長いハチマキを巻いた応援団の面々が、自分たちのクラスの応援席正面に並び終えると合戦のスタートです。
団長を真ん中にして、各クラス一斉にそれぞれの掛け声が始まりました。
3学年すべてのクラスが一斉に掛け声を言うので、とにかく団長さんは声の大きな方が選ばれます。
でないと、隣のクラスの掛け声に自分のクラスの団長さんの声がかき消されて聞こえない!なんてことが起こってしまうからです。
団長さんの声が聞こえないと、クラス一丸となって行う応援パフォーマンスに甚大な影響が出てしまうのです。
そんなわけで、私たちのクラスの団長さんは、野田くんといって、ものすごく声が大きくて有名です。
笑い声などは昼休みの騒がしい時でも隣のクラスまで聞こえているという噂の持ち主です。
「疾風迅雷~~~!!!」
私たちがいる応援席を背にした野田くんの掛け声が、グラウンドを挟んで反対側にある本部に向かって響いていきます。
本部では先生方が全校生の応援を観戦しています。
応援合戦の勝敗は先生方の投票により、投票数の多いクラスから順に上位8位まで点が与えられる形で決まるのです。