続・拗らせDKの偏った溺愛

乱戦



珍しく体育祭の競技に関心を持ってくださった様子の竜也くんに、説明する私も自然と力が入ります。


「乱戦というのは、応援団の方による騎馬戦です」


「なんだ騎馬戦か」


それなのに騎馬戦という単語に急速に興味が失せてしまいそうになっています。

なぜでしょう!?


「ただの騎馬戦の割には、ものすごく盛り上がってきてない?」


「そうなんです、虎谷くん!この乱戦が毎年ものすごく盛り上がるのは、ただの騎馬戦ではないからなんです!」


盛り下がろうとする竜也くんを私一人で盛り上げるのは大変難しいように思いますが、虎谷くんのお言葉は願ってもない助け舟です!ありがたいです・・・!


「いま準備されているように、団長が騎士役で鉢巻きの奪い合いをするのですが、鉢巻きを取られたら終わり、ではないのです」


「はぁ!?なんだそれ。じゃぁどうやったら勝ち負けが決まるんだよ?」


やりました!竜也くんの関心レベルが上がりました!!


「制限時間内であれば自分の鉢巻きが取られても、ほかの騎士の鉢巻きを取りに行ってもいいのです。あと、奪った鉢巻きは騎馬について走っている旗持ちの方が持っておく決まりです」


「もしかして、旗持ちの子が持ってる鉢巻きを奪ってもいいの?」


「さすが虎谷くん!その通りです。旗持ちがもつ鉢巻きを取りに行くのもルール上はアリです。ですが、乱戦は騎馬が崩れで騎士が騎馬から落ちたらそこで終わりなんです」


「そうそう!騎士が騎馬の上から地面を走っている人の手にある鉢巻きを取ろうと思うと、結構大変みたいだよ~」


綾乃ちゃんが可愛く補足を付け加えてくださいました。


「だったらまだ鉢巻きを取られていない騎士に挑んだ方が安全ってことか・・・」


竜也くんが思いのほか真剣に考えてくださっています。
< 20 / 34 >

この作品をシェア

pagetop