続・拗らせDKの偏った溺愛
鉢巻きが取られる・・・!!!
誰もがそう思った時でした。
斎藤くんに向かって手を伸ばしていたはずの騎士の方が、こともあろうに騎馬ごと地面に向かって吹っ飛んでいかれたのです。
「「「ぎゃぁ〜〜〜〜!!!」」」
「「「うぉ〜〜〜〜〜!!!!!」」」
一斉に沸き起こる悲鳴と歓声に包まれて、地面に倒れ込んだ騎馬がモウモウと砂埃を立ち上げました。
そして、その砂埃が収まった時、そこに堂々と立っていたのは竜也くん率いる野田くんの騎馬と、鉢巻きを死守した斎藤くんでした。
そのタイミングでキーンというマイクの音と
「しゅ〜〜〜りょ〜〜〜〜〜!!!」
という体育祭実行委員長の合図が。
今度こそ、大歓声が起こりました。
「やった!!俺たちのクラスの勝利だ!!」
「リュウくん、最後まで鬼カッコイイ❤︎」
グラウンドでは、終了の合図で騎馬から降りた野田くんが男泣きに泣き始めています。
「ウッ、ウゥッ、竜也さんのおかげで勝てました!」
「「高村さん、あざーっす!!」」
竜也くんと組んでいた騎馬役の方たちもお礼を言ってらっしゃいます。
「はぁ?何言ってんだ、お前ら。騎馬戦はチーム戦だろーが。勝ったなら全員で掴んだ勝利だろ?な、斎藤!」
心底呆れた顔で竜也くんがそんなことを言うものですから、野田くんが泣いているのを見て笑っていた騎馬役のお二人と斎藤くんまでもがうるっとする始末。
竜也くんはというと、自分を囲んで泣き始めた男子4人を見て大困惑されています。
「ちょっ、いや、お前ら・・・俺は男に囲まれて泣かれる趣味はねぇ!!」
そんな竜也くんが可愛く見えるのは私だけ・・・では当然ありません。
「リュウくん、カッコイイだけじゃなくて、あんな可愛い一面もあるんだ!」
「意外だよね、体育祭の競技に参加して頑張っちゃう姿とか!」
「今までは、カッコ良くても、ちょっと怖くて近寄りがたい感じだったけど〜。実は他の男子と変わらないっぽい!」
などなど。
今まで以上に竜也くんのファンが増えたのをヒシヒシと感じた騎馬戦でした。