おやすみ、会いに来たよ。
夢の始まり
新学期、青春の始まる季節。
道端の桜の多くは満開を迎え、道にピンクの絨毯を仕立てあげていた。
そして今日、私芽原 蘭子(めはら かこ)は高校デビューを果たそうとしている。
6年前に事故に合い、そのショックで以前の記憶を無くしてしまった恐怖から、その日を境に外に出ることが怖くなり、今まで引きこもってしまっていたので、正直外に出るのは怖くてしょうがない。
だけど流石にこのままではいけないと思い、高校はしっかり行くことに決めて、新しい1歩を踏み出した
のだが…
「う…人が多すぎて酔いそう…。」
もう学校に着いた時点で、人の多さに圧倒されリタイアしそうになっている。
今まで引きこもり、親以外の人に会ってこなかった私にはあまりにも地獄で残酷な試練なのだ。
――ドンッ
「あっスンマセン!」
!?
「い、いいいいいいいえっっっっ」
突然人にぶつかり いいえ と返そうとするも見事に噛み、変な声が出てしまった。
大きな声を出してしまった為周りの視線がこちらに集まる。
ぶつかった相手も私に少し引き気味の目線を向けていた。
「っっっ…ごめんなさいっっっ………」
心臓がバクバクして背筋が冷えていく。
やっちゃった…やっちゃった…っ。
じわりじわりと目元が熱くなっていき、目の前がぼやけ始める。
私は涙を隠すようにうつむいて、走ってその場から逃げ出した。
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