双子の被検体に依存されています。
チャポンっと音を立てて双子が湯船に浸かる。弟がふぅっと息を吐いた。兄は傷をじっとみながら、弟を支えている。

「そういえば、名前つけなきゃね…いつまでも片割れとか弟とかじゃ分かりずらいし…」

なんの事かと、またしてもキョトンとした顔をする。

「うーん…。名前付けたことないから分かんないなぁ…双子だから双葉と双子?」

『意味わかんない。却下』と悪魔。『私もこれには反対かなぁ。双双って呼びずらくない?』と天使。二人にダメ出しをされたので、少しむかつく。

「あ、そうだ。分かりやすくて、なおかつ呼びやすい名前があるよ!」

『なんだ?』『どんなの?』

「先に生まれたお兄ちゃんが【祈颯(きさ)】後に生まれた弟が【叶葵(とあ)】どうよ〜」

『テキトーすぎ』『あなたってば、そういうところがありますよね』

「もーいいじゃん。どうせ、喋れるようになったら自分で付けさせればいいでしょ?」

天使と悪魔にため息をつかれる。双子は私の奇行に驚いた目をしていた。

傍から見れば、私は独り言で盛り上がってるヤバいやつだ。まして、外の世界を知らない彼らにとって、私のような人が沢山いると思われてしまうと、それはそれで困る。

「かと言って、辞められないんだけどね…」

またしても独り言を呟いて、双子に向き合う。

「さて、君たちはこれから祈颯と叶葵だ。これからそう呼んでいくからよろしく…ね?」

指をさしながら名前を教えてあげると、双子は顔を見合わせた。その後、こちらに向き直って、戸惑いながらコクっと二人で頷いた。

『かわいぃ…!』『えぇ…こんな名前でいいのかよ…』天使と悪魔が何かを言っている中、私は何か、既読感に包まれていた。

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