双子の被検体に依存されています。
風呂から出てきて、私の小さくなったTシャツと、仕方ないので私のショーツを貸してあげた。

天使と悪魔に言われて、まずはこの家の紹介をすることにした。仕方なく。

私の住んでいる204は、大きい訳でも小さい訳でもない、普通の部屋だ。リビングとキッチンは繋がっていて、寝室とトイレと風呂場と物置部屋があるだけ。この子達の部屋は、物置部屋を少し片付けたところにすればいいだろう。

「ベッドはどうしようか…」

この家にはソファーが無い。かと言って、座布団がある訳でもない。この部屋の机は掘りごたつだけだ。

さて、どうしようか…。そう悩んでいた時、ガサガサと双子が何かを漁っている音がした。

「どうした祈颯、叶葵。なにか捜し物か?」

フンッフンッと、双子はこちらを見ずに、ダンボールで何かを組み立て始めた。

「まさか…ホームレスみたいな感じで寝るつもり?」

私が問いかけると、叶葵がキラキラした目で頷いた。

「……ダメだよ!」

ビクッと双子の体が痙攣する。怒られる、叩かれると危機を感じたのか、双子は目に涙を浮かべ始めた。

『ねえ、なんで怒ったの?迷惑にならないようにしてくれてるんでしょ?』

「…いい?祈颯達は今弱ってるんだから…こんなに冷たくて、痛いところで寝ちゃダメに決まってるでしょ…?今日は私のベッドで寝な。今日はしっかり休んで」

天使の言葉を無視して、私はあやす様に、教えるようにそう言った。

『いいのか?お前も歩いて疲れてるだろ?』悪魔がそう言ってきたが、私はこの子の方が心配だからと善意の言葉を言った。本当は、すごく疲れている。

双子は素直に頷いて、寝室のシングルベッドに横になって眠り始めた。

『お前もしっかり寝ろよ。倒れられちゃ、俺たちにも影響する』悪魔が珍しく優しいことを言うので、クスリと笑いながら、私もベッドにもたれ掛かるようにして眠りについた。
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