クロコ

私はビデオショップでバイトしている。地味で冴えない私にはピッタリのバイトだった。

クロコ、あんた今すぐそのバイト辞めなさい。

え！？何？なんで？どういうこと？？

私はパニックに陥った。この声は何？なんでバイト辞めなきゃいけないの？なんで…。
意識が遠のいていく…。


気がつくと私はどこかのお店の中にいた。ここどこ？辺りを見回すとたくさんの綺麗な服…。ここ、服屋さん？
「お客様、大変お似合いですよ。」
背後からの声に思いっきりビックリして腰を抜かし、その場にしゃがみこんでしまった私を見て、店員が慌てて駆け寄った。
「お客様、どうなさいました？大丈夫ですか？」
私は困り果てながら言った。
「だ、大丈夫です。あのぉ、ここはどこでしょうか？」
店員は怪訝な顔をして
「こちらはクレア３号店ですが…。」

クレア？！
とっさに私は跳ね起きて、逃げ出したい気分になった。
クレアは私みたいなファッションに疎い人間でも知っている素敵なお嬢様が着るような服屋で、シャツ１枚の値段の桁が違った。
「お客様、そちらのお召し物はいかがでしょうか？当店いち押しの夏の売れ筋商品でございますが…。」

えっ？！着てる？