やわく、制服で隠して。
夏休みが終わって、二学期が始まった。
今、私と深春は生徒指導室に呼び出されている。
目の前で、一年生の生徒指導の先生はカンカンになって私達に説教している。
私と深春が座る机の上には五教科分のテストの解答用紙。
担任が担当する国語だけ二人とも高得点で、それ以外の教科は名前以外、全部白紙だ。
二学期に入ってすぐに、学力テストがあった。
“せっかく”死ぬんだし、これからは今までやれなかったことをしようって私達は決めていた。
学生が考える“やりたいこと”なんて、ほとんどが羽目を外すようなことばかりだ。
この偏差値の高い高校で、あと二年ちょっと過ごす生徒にとって、学期始めの学力テストで絶望的な点数を取ることは、なかなかリスクが高い。
二人揃って四教科分白紙となると、ワザとやっていることは決定的で、私達は即、生徒指導室送りとなった。
私は慣れているし、珍しいイベント事でも無いけれど、深春が生徒指導室に呼び出されるなんて、一大イベントだ。
深春はこのイベントにワクワクしていて、微笑ましかった。
顔を真っ赤にして怒り続ける先生を前にしても、楽しい映画でも観るような顔で深春は先生を見ていた。
十分くらい遅れて、担任が生徒指導室に入ってきた。
「すみません。遅くなりました。うちの生徒が本当に申し訳ございません。」
「まったく!この子達はいつもこうなんですか?」
「いいえ!決してそんなことは…。」
「どうしてこんなことをしたの?それに国語だけはしっかり受けてるじゃない。どういうことかしら?」
生徒指導の先生に詰め寄られる。
担任は私達の前に中腰になって、「どうして?」と聞いた。
「先生には恩があるから。」と私が言った。
深春が頷いて「ごめんなさい。」って言った。
「恩って?どういうこと?」
生徒指導がまだ少し声を荒げたまま聞いてきたけれど、私も深春も答えなかった。
「前に、先生だけが私達のことを分かってくれたから。先生にだけはちゃんと応えたかった。それだけです。あとは話しても意味が無いと思うので。ごめんなさい。」
深春の言ったことに、担任は何の話をしているのか理解してくれたようだった。
野外学習の時の話だ。
生徒指導はもちろん理解出来ずに、今回のことで更に説教をし、ついでに担任までしっかり指導するようにと注意をされてしまった。
普通、赤点を取った生徒は教科ごとに補修、追試があるけれど、私達は受けさせてもらえないことになった。
今回の件は計画性があって、悪質だとみなされた。
この点数がそのまま二学期の評価に繋がるから、進級には三学期の成績がかなり重要になると厳しく言われ、私と深春、担任は解放された。
今、私と深春は生徒指導室に呼び出されている。
目の前で、一年生の生徒指導の先生はカンカンになって私達に説教している。
私と深春が座る机の上には五教科分のテストの解答用紙。
担任が担当する国語だけ二人とも高得点で、それ以外の教科は名前以外、全部白紙だ。
二学期に入ってすぐに、学力テストがあった。
“せっかく”死ぬんだし、これからは今までやれなかったことをしようって私達は決めていた。
学生が考える“やりたいこと”なんて、ほとんどが羽目を外すようなことばかりだ。
この偏差値の高い高校で、あと二年ちょっと過ごす生徒にとって、学期始めの学力テストで絶望的な点数を取ることは、なかなかリスクが高い。
二人揃って四教科分白紙となると、ワザとやっていることは決定的で、私達は即、生徒指導室送りとなった。
私は慣れているし、珍しいイベント事でも無いけれど、深春が生徒指導室に呼び出されるなんて、一大イベントだ。
深春はこのイベントにワクワクしていて、微笑ましかった。
顔を真っ赤にして怒り続ける先生を前にしても、楽しい映画でも観るような顔で深春は先生を見ていた。
十分くらい遅れて、担任が生徒指導室に入ってきた。
「すみません。遅くなりました。うちの生徒が本当に申し訳ございません。」
「まったく!この子達はいつもこうなんですか?」
「いいえ!決してそんなことは…。」
「どうしてこんなことをしたの?それに国語だけはしっかり受けてるじゃない。どういうことかしら?」
生徒指導の先生に詰め寄られる。
担任は私達の前に中腰になって、「どうして?」と聞いた。
「先生には恩があるから。」と私が言った。
深春が頷いて「ごめんなさい。」って言った。
「恩って?どういうこと?」
生徒指導がまだ少し声を荒げたまま聞いてきたけれど、私も深春も答えなかった。
「前に、先生だけが私達のことを分かってくれたから。先生にだけはちゃんと応えたかった。それだけです。あとは話しても意味が無いと思うので。ごめんなさい。」
深春の言ったことに、担任は何の話をしているのか理解してくれたようだった。
野外学習の時の話だ。
生徒指導はもちろん理解出来ずに、今回のことで更に説教をし、ついでに担任までしっかり指導するようにと注意をされてしまった。
普通、赤点を取った生徒は教科ごとに補修、追試があるけれど、私達は受けさせてもらえないことになった。
今回の件は計画性があって、悪質だとみなされた。
この点数がそのまま二学期の評価に繋がるから、進級には三学期の成績がかなり重要になると厳しく言われ、私と深春、担任は解放された。