やわく、制服で隠して。
「だってもう分かったの。まふゆさえ守れれば、他の人間なんて知ったこっちゃない。」
深春が私の頬に触れて、くちびるに触れて、首筋をなぞった。
不快感は微塵も感じない。もっと触れて欲しい。
深春の指先でもっと私を深春の物にして欲しい。
「あの元カレの時は、もっと周りのことも考えてた。でも気付いたの。私はまふゆさえ守ることができればそれでいいんだって。まふゆさえ居てくれればそれでいいから。」
「私もだよ。だからもう、危ないことしないで。」
「まふゆを失うくらいなら危ないことして死んだっていい。」
「ヤダ。」
「だから一緒に。二人で生きよ。」
「…ね、あの動画。なんか物騒な動画ばっかり増えてっちゃうね。」
私の言葉に深春も頷いて笑った。
「本当に。だからもうこれ以上、危ないとこに行かないでね。」
「うん。…あ!ねぇ、あんな大金どうしたの?ちゃんと返すから!」
「いいよ。あの子達が路地裏に入っていく時さ、ずっとスマホ触ってるからもしかしたら動画撮るかもなぁって。大正解だった。絶対壊してやろうと思って、コンビニでおろしてたの。」
そう言えばあのコンビニに、地方銀行と郵便局のATMが入っていることを思い出した。
封筒もそこに置いてあった気がする。
「絶対返す。」
「私が勝手にしたことだし、お年玉とかずっと貯めてただけのやつだから!それでまふゆのことが守れたんだから安いもんじゃん!」
歩き出した深春の後ろ姿を眺めながら、ゆっくり後ろをついていく。
空を見上げては月が綺麗だとか、風が冷たいねとか呟く深春の声に、私は何も言えなかった。
もう一度好きだって伝えたら、深春はどんな意味の“好き”で受け取ってくれるだろう。
今度こそ本当の感情が伝わったらハッピーエンドになるのか、悲劇が待っているのか、知るのは怖いけれど、深春なら、もしかしたら…と期待してしまう。心臓がドキドキして痛い。
深春と私の家までの分かれ道に着いても、本当に言いたいことは言えないままだった。
「じゃあ、ね。」
深春が振り返って、手を振った。
「待って。」って言えないまま、私も手を振った。
あぁ、深春も私とおんなじ気持ちなら、やっぱりもう少し一緒に居ようなんて言って、戻ってきてくれるかもしれないとか、そうしないのは、やっぱり私とは違う気持ちなんだろうなとか、深春の気持ちを勝手に想像しては落ち込んだ。
私の為にリスクを冒した深春を、一緒に生きようって言ってくれた深春の言葉だけを信じていたいのに。
叶わなくていつか失くしてしまうのが“恋”なら、こんな気持ちは要らない。
深春の隣に居られるのなら、ずっとこのままでいい。
なんで私は…深春を好きになったんだろう。
自分の中に突然生まれた感情にすらわけが分からなくて、気付いてしまったその感情は、深春を失ってしまう恐怖を増長させた。
深春が私の頬に触れて、くちびるに触れて、首筋をなぞった。
不快感は微塵も感じない。もっと触れて欲しい。
深春の指先でもっと私を深春の物にして欲しい。
「あの元カレの時は、もっと周りのことも考えてた。でも気付いたの。私はまふゆさえ守ることができればそれでいいんだって。まふゆさえ居てくれればそれでいいから。」
「私もだよ。だからもう、危ないことしないで。」
「まふゆを失うくらいなら危ないことして死んだっていい。」
「ヤダ。」
「だから一緒に。二人で生きよ。」
「…ね、あの動画。なんか物騒な動画ばっかり増えてっちゃうね。」
私の言葉に深春も頷いて笑った。
「本当に。だからもうこれ以上、危ないとこに行かないでね。」
「うん。…あ!ねぇ、あんな大金どうしたの?ちゃんと返すから!」
「いいよ。あの子達が路地裏に入っていく時さ、ずっとスマホ触ってるからもしかしたら動画撮るかもなぁって。大正解だった。絶対壊してやろうと思って、コンビニでおろしてたの。」
そう言えばあのコンビニに、地方銀行と郵便局のATMが入っていることを思い出した。
封筒もそこに置いてあった気がする。
「絶対返す。」
「私が勝手にしたことだし、お年玉とかずっと貯めてただけのやつだから!それでまふゆのことが守れたんだから安いもんじゃん!」
歩き出した深春の後ろ姿を眺めながら、ゆっくり後ろをついていく。
空を見上げては月が綺麗だとか、風が冷たいねとか呟く深春の声に、私は何も言えなかった。
もう一度好きだって伝えたら、深春はどんな意味の“好き”で受け取ってくれるだろう。
今度こそ本当の感情が伝わったらハッピーエンドになるのか、悲劇が待っているのか、知るのは怖いけれど、深春なら、もしかしたら…と期待してしまう。心臓がドキドキして痛い。
深春と私の家までの分かれ道に着いても、本当に言いたいことは言えないままだった。
「じゃあ、ね。」
深春が振り返って、手を振った。
「待って。」って言えないまま、私も手を振った。
あぁ、深春も私とおんなじ気持ちなら、やっぱりもう少し一緒に居ようなんて言って、戻ってきてくれるかもしれないとか、そうしないのは、やっぱり私とは違う気持ちなんだろうなとか、深春の気持ちを勝手に想像しては落ち込んだ。
私の為にリスクを冒した深春を、一緒に生きようって言ってくれた深春の言葉だけを信じていたいのに。
叶わなくていつか失くしてしまうのが“恋”なら、こんな気持ちは要らない。
深春の隣に居られるのなら、ずっとこのままでいい。
なんで私は…深春を好きになったんだろう。
自分の中に突然生まれた感情にすらわけが分からなくて、気付いてしまったその感情は、深春を失ってしまう恐怖を増長させた。