やわく、制服で隠して。
ファスナーが全て開けられて、インナーのキャミソールが露わになる。

クイッと人差し指でキャミソールを下げられて、胸のギリギリのところに、深春がそっと口付けた。

ピクッと体が震えた。電流が走ったみたいに、その口付けひとつで私が全部、深春の物だよって誓いを交わしたみたいに、その行為はとても神聖な物に感じられた。

「本当は全部消毒してあげたい。」

「消毒?」

「元カレに触れられたところも、アイツらに乱暴されたところも全部、私に消してあげられる力があればいいのに。」

深春はそう言って、もう一度胸元、それから首筋に三回、口付けをした。

「私ね、最低なの。」

「最低?」

深春のくちびるが体に触れるたびに頭がぼーっとする。
ふわふわとした気持ちで、深春の言葉を繰り返した。

「まふゆの恋愛が終わって、喜んでた。それだけじゃ無いよ。」

「うん。」

「まふゆが友達を失くしていくことにさえ、私は喜んでた。」

深春が私の頬に口付けをして、耳元ですぅと息を吸った。
髪の毛が鼻の辺りをかすめてくすぐったい。
甘いシャンプーの香りがした。

「まふゆを独り占めしたいって思ったの。」

「独り占め、したいだけ?」

「だけ?」

体を離して、深春を見つめた。
いつもの真っ直ぐな瞳。私だけを見てくれている。

「独り占めするだけで深春は満足なの?友達としての嫉妬?」

「意地悪言わないで。」

深春が泣きそうな目をした。
私もきっと同じ。懇願するような目で、深春を見つめている。

「まふゆ。好きよ。」

「私もだよ。」

「私の好きは、女性として、まふゆが好きなんだよ。」

「私もだよ。」

深春の瞳に溜まっていた涙が、頬をつたって落ちた。
続いて流れた涙を指ですくって、その頬に口付けをした。
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