やわく、制服で隠して。
振動音は明らかに私のスマホからだった。
しつこく鳴り続けたスマホは一回止まって、それからまた震え出した。
深春を起こさないようにゆっくりと体を起こして、私に掛けてくれていたブランケットを深春に掛けた。
そっとベッドから降りて、丸まった体勢で腕を伸ばしてスマホを掴む。
画面をタップしたら“着信中”と“ママ”という文字が上下に並んでいた。
おかしいと思った。
私が野外学習に行くことを知っているはずなのに、こんなにしつこく電話を掛けてくるなんて。
嫌な予感がする。
出たほうがいいのか、野外学習中だから気づかなかったってシラを切るか。
迷っているうちに着信は切れた。
けれどすぐに、トークアプリの通知マークがついた。
開かなくてもママだって分かった。
ドキドキしながら画面をタップする。
トークアプリを開いたら、ママとのトークルーム自体を開かなくてもメッセージは見える。
“出なさい。”
たった一言だけのメッセージ。
野外学習中だと思っている人が送ってくるようなメッセージじゃない。
ドクン、ドクンと心臓が激しく鳴った。
「深春。深春、起きて。」
気持ち良さそうに眠る深春をゆすって起こした。
小さく声を出して、寝ぼけているような素振りを見せながら、深春は私の腕に顔を寄せた。
愛おしくて、そのまま私も深春に身を委ねていたかったけれど、最悪なことに今はそれどころじゃなかった。
「深春、お願い。起きて。大変なの。深春…!」
少し強めにゆすったら、深春の目がパチっと開いた。
二回、長めに瞬きをしてから、目をこすって寝転んだまま、深春は私を見上げた。
「まふゆ。ごめんね。けっこう寝ちゃってたかも。」
「深春、大変なの。起きられる?」
んん、と駄々をこねるみたいな声を出して、深春は起き上がった。
クーラーが効いているから寒いのか、深春はブランケットでしっかり自分の体をくるんだ。
「どうしたの。」
私の肩に頭を乗せて、一緒にスマホを覗き込んでくる。
「これ。」
まだトークルームは開かないまま、ママからの“出なさい。“のメッセージを見せた。
それから画面を切り替えて、着信履歴も見せた。
深春は私の肩から頭を離して、うわぁ…と唸った。
私も一緒に唸りたかった。
やっぱりどう考えても、私達の行動がバレているって思った。
しつこく鳴り続けたスマホは一回止まって、それからまた震え出した。
深春を起こさないようにゆっくりと体を起こして、私に掛けてくれていたブランケットを深春に掛けた。
そっとベッドから降りて、丸まった体勢で腕を伸ばしてスマホを掴む。
画面をタップしたら“着信中”と“ママ”という文字が上下に並んでいた。
おかしいと思った。
私が野外学習に行くことを知っているはずなのに、こんなにしつこく電話を掛けてくるなんて。
嫌な予感がする。
出たほうがいいのか、野外学習中だから気づかなかったってシラを切るか。
迷っているうちに着信は切れた。
けれどすぐに、トークアプリの通知マークがついた。
開かなくてもママだって分かった。
ドキドキしながら画面をタップする。
トークアプリを開いたら、ママとのトークルーム自体を開かなくてもメッセージは見える。
“出なさい。”
たった一言だけのメッセージ。
野外学習中だと思っている人が送ってくるようなメッセージじゃない。
ドクン、ドクンと心臓が激しく鳴った。
「深春。深春、起きて。」
気持ち良さそうに眠る深春をゆすって起こした。
小さく声を出して、寝ぼけているような素振りを見せながら、深春は私の腕に顔を寄せた。
愛おしくて、そのまま私も深春に身を委ねていたかったけれど、最悪なことに今はそれどころじゃなかった。
「深春、お願い。起きて。大変なの。深春…!」
少し強めにゆすったら、深春の目がパチっと開いた。
二回、長めに瞬きをしてから、目をこすって寝転んだまま、深春は私を見上げた。
「まふゆ。ごめんね。けっこう寝ちゃってたかも。」
「深春、大変なの。起きられる?」
んん、と駄々をこねるみたいな声を出して、深春は起き上がった。
クーラーが効いているから寒いのか、深春はブランケットでしっかり自分の体をくるんだ。
「どうしたの。」
私の肩に頭を乗せて、一緒にスマホを覗き込んでくる。
「これ。」
まだトークルームは開かないまま、ママからの“出なさい。“のメッセージを見せた。
それから画面を切り替えて、着信履歴も見せた。
深春は私の肩から頭を離して、うわぁ…と唸った。
私も一緒に唸りたかった。
やっぱりどう考えても、私達の行動がバレているって思った。