やわく、制服で隠して。
「あなた…。あなたもまふゆの味方なのね。」
「味方するとかしないじゃないだろう。今のこの状況を冷静になって見てみろ。家はめちゃくちゃで君は取り乱してる。その中で娘が床に倒れてるみたいな状態で心配しない親がどこに居るんだ!」
「あなたもそうやって私を責めるのね…。」
「まふゆ、部屋に戻っていなさい。」
「でも…」
「いいから。」
パパが私の肩をさすって、それから立ち上がらせた。
私はママとパパに背を向けてリビングを出た。
リビングを出る前にママに声をかけようと思ったけれど、もう何も言えなかった。
私にしたみたいに、パパは床で泣き崩れるママの肩を抱いて、背中をさする。
今、深春のことを話してしまうのは間違っていたって、自分でも分かっていた。
でも逆に今じゃなきゃもう二度と話せないって思った。
ママが理解してくれないことも、パパを今以上に困らせてしまうことも考えなかったわけじゃない。
それでもこうなってしまった以上、深春のことを隠していけないって思った。
深春は唯一の救いだから。
そのことを隠し続けていくことのほうが苦しかった。
部屋に戻って一時間くらい経ってから、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「まふゆ、起きてるか。」
「うん。」
返事をしたらガチャッとドアが開いて、苦しそうに笑うパパが立っていた。
「入るぞ。」
「うん。」
ベッドに寝転がっていた体を起こして座った。
その隣にパパが座った。
「明後日までまふゆは居ないって聞いてたから、外まで声が聞こえてた時、おかしいと思ったんだ。」
「うん。ごめんなさい。」
「何で嘘をついて、サボったんだ?」
「深春と二人で居たかったから。」
パパのほうを見ないまま、閉められたドアの一点だけを見続けた。
パパも私のほうは見なかった。前に体も顔も向けたまま、だけど声はママよりずっと落ち着いている。
「もうすぐ夏休みだろ?それまで待てなかったのか?」
「待てなかった…と思う。最初はそんなつもりなかったけど、深春が提案してくれた時、断ったら絶対後悔するって思った。」
「それは、どうして?」
「好きだから。深春のことが好きなの…私、本気で。みんなが異性を好きになって、結婚して、一生一緒に居たいって誓いを立てるのとおんなじくらい、深春のことが大切で、好きなの。だから悪いことだって分かってても一緒に居られる理由があるならなんだってしたかった。」
スン、とパパが鼻をすするのが聞こえた。
多分、泣いているわけではない。
きっとパパは私の“告白”を聞きながら、落ち着かないだけだ。
「味方するとかしないじゃないだろう。今のこの状況を冷静になって見てみろ。家はめちゃくちゃで君は取り乱してる。その中で娘が床に倒れてるみたいな状態で心配しない親がどこに居るんだ!」
「あなたもそうやって私を責めるのね…。」
「まふゆ、部屋に戻っていなさい。」
「でも…」
「いいから。」
パパが私の肩をさすって、それから立ち上がらせた。
私はママとパパに背を向けてリビングを出た。
リビングを出る前にママに声をかけようと思ったけれど、もう何も言えなかった。
私にしたみたいに、パパは床で泣き崩れるママの肩を抱いて、背中をさする。
今、深春のことを話してしまうのは間違っていたって、自分でも分かっていた。
でも逆に今じゃなきゃもう二度と話せないって思った。
ママが理解してくれないことも、パパを今以上に困らせてしまうことも考えなかったわけじゃない。
それでもこうなってしまった以上、深春のことを隠していけないって思った。
深春は唯一の救いだから。
そのことを隠し続けていくことのほうが苦しかった。
部屋に戻って一時間くらい経ってから、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「まふゆ、起きてるか。」
「うん。」
返事をしたらガチャッとドアが開いて、苦しそうに笑うパパが立っていた。
「入るぞ。」
「うん。」
ベッドに寝転がっていた体を起こして座った。
その隣にパパが座った。
「明後日までまふゆは居ないって聞いてたから、外まで声が聞こえてた時、おかしいと思ったんだ。」
「うん。ごめんなさい。」
「何で嘘をついて、サボったんだ?」
「深春と二人で居たかったから。」
パパのほうを見ないまま、閉められたドアの一点だけを見続けた。
パパも私のほうは見なかった。前に体も顔も向けたまま、だけど声はママよりずっと落ち着いている。
「もうすぐ夏休みだろ?それまで待てなかったのか?」
「待てなかった…と思う。最初はそんなつもりなかったけど、深春が提案してくれた時、断ったら絶対後悔するって思った。」
「それは、どうして?」
「好きだから。深春のことが好きなの…私、本気で。みんなが異性を好きになって、結婚して、一生一緒に居たいって誓いを立てるのとおんなじくらい、深春のことが大切で、好きなの。だから悪いことだって分かってても一緒に居られる理由があるならなんだってしたかった。」
スン、とパパが鼻をすするのが聞こえた。
多分、泣いているわけではない。
きっとパパは私の“告白”を聞きながら、落ち着かないだけだ。