やわく、制服で隠して。
“だいじょうぶ?”
パパが部屋を出ていって、スマホを見たら深春からメッセージが届いていた。
“パパは大丈夫。ママが大丈夫じゃない。”
“そっか…。本当にごめん。”
“明明後日、パパと深春の家に行くよ。謝りに。”
“謝らなきゃいけないのは私なのに。”
“深春。私はどっちも悪いって言われるほうが嬉しいよ。私と深春、一緒にやったことだもん。共犯者のほうがずっといい。”
“うん。そうだったね。”
“深春に会いたい”
“私もだよ”
ぽん、ぽん、ぽんと無機質に繰り返されるメッセージ。
機械の中の文字の羅列。それが本当に深春からかどうかなんて、見えていない私には分からないのに、文字だけでも愛おしかった。
深春に会えるのなら理由なんて何でもいい。
反省していないって言われても、どういう状況でも深春に会えるなら嬉しかった。
明日と明後日は家から出られない。
私の場合、きっと部屋からも出ない。
ママもずっと家に居るだろうし、これ以上もう、二人で顔を合わせるのはやめたほうがいいと思う。
家族に対しての自己防衛。
笑っちゃうよな。
一番守られるはずの家庭が、一番苦しい場所だなんて。
スマホが震えた。
また深春からのメッセージかと思ったら、パパだった。
”ママ、部屋に戻ったよ。すぐに眠ってしまうと思う。お風呂に入ってしまいなさい。“
そのメッセージを読んで、そっと部屋を出た。
なるべく音が出ないようにドアを閉めて、ママとパパの部屋の前は今までに無いくらい、ゆっくりと歩いた。
自分の家なのに泥棒みたいだなって、ちょっと前にも思った気がして、一人で苦笑いした。
階段をゆっくりと下りて、一度リビングに入ると、パパがカップラーメンをすすっていた。
その姿を見ると、胸がズキッとした。
「パパ、ごめんね。私のせいでパパがこんな目に遭って。」
パパは持っていた箸を置いて、弱々しく微笑んだ。
「まふゆはもうパパに謝らなくていいんだよ。子供を守るのはパパの義務だから。」
義務。そう言ったパパの言葉すら悲しく聞こえてしまう。
義務があるから私を守ってくれる。
もし保護者にもそんな義務は無いと言われたら、パパも私を見離すのかな。
全部が疑心暗鬼。見えない敵と戦っている気分だ。
ママもこんな気持ちを抱えているのなら、それこそ本当に、ママとちゃんと話がしたかった。
でもそんな期待も、もう持てない。
ママにとって、今一番の特効薬は、私が関わらないこと。
はっきりと分かっている、それだけが悲しいけれど事実だ。
お風呂から上がって、自分の部屋に戻る。
何時間も何時間も、壊れてしまった家族のことを考えた。
無理して笑う、思っていたよりも小さく感じたパパの背中を思った。
深春のことを考える。
今頃一緒にベッドの中で毛布にくるまって、くだらない話をして、いっぱい好きだって言って、キスをして眠る。
そんな幸せな夢。
現実に起こるはずだった、夢になってしまった二人だけの夜。
どんどん白くなっていく窓の向こう。
眠っていたのかずっと起きていたのかもはっきりとしない思考。
現実は変わっていない。
望んでいない昨日の続きがやってきただけだった。
パパが部屋を出ていって、スマホを見たら深春からメッセージが届いていた。
“パパは大丈夫。ママが大丈夫じゃない。”
“そっか…。本当にごめん。”
“明明後日、パパと深春の家に行くよ。謝りに。”
“謝らなきゃいけないのは私なのに。”
“深春。私はどっちも悪いって言われるほうが嬉しいよ。私と深春、一緒にやったことだもん。共犯者のほうがずっといい。”
“うん。そうだったね。”
“深春に会いたい”
“私もだよ”
ぽん、ぽん、ぽんと無機質に繰り返されるメッセージ。
機械の中の文字の羅列。それが本当に深春からかどうかなんて、見えていない私には分からないのに、文字だけでも愛おしかった。
深春に会えるのなら理由なんて何でもいい。
反省していないって言われても、どういう状況でも深春に会えるなら嬉しかった。
明日と明後日は家から出られない。
私の場合、きっと部屋からも出ない。
ママもずっと家に居るだろうし、これ以上もう、二人で顔を合わせるのはやめたほうがいいと思う。
家族に対しての自己防衛。
笑っちゃうよな。
一番守られるはずの家庭が、一番苦しい場所だなんて。
スマホが震えた。
また深春からのメッセージかと思ったら、パパだった。
”ママ、部屋に戻ったよ。すぐに眠ってしまうと思う。お風呂に入ってしまいなさい。“
そのメッセージを読んで、そっと部屋を出た。
なるべく音が出ないようにドアを閉めて、ママとパパの部屋の前は今までに無いくらい、ゆっくりと歩いた。
自分の家なのに泥棒みたいだなって、ちょっと前にも思った気がして、一人で苦笑いした。
階段をゆっくりと下りて、一度リビングに入ると、パパがカップラーメンをすすっていた。
その姿を見ると、胸がズキッとした。
「パパ、ごめんね。私のせいでパパがこんな目に遭って。」
パパは持っていた箸を置いて、弱々しく微笑んだ。
「まふゆはもうパパに謝らなくていいんだよ。子供を守るのはパパの義務だから。」
義務。そう言ったパパの言葉すら悲しく聞こえてしまう。
義務があるから私を守ってくれる。
もし保護者にもそんな義務は無いと言われたら、パパも私を見離すのかな。
全部が疑心暗鬼。見えない敵と戦っている気分だ。
ママもこんな気持ちを抱えているのなら、それこそ本当に、ママとちゃんと話がしたかった。
でもそんな期待も、もう持てない。
ママにとって、今一番の特効薬は、私が関わらないこと。
はっきりと分かっている、それだけが悲しいけれど事実だ。
お風呂から上がって、自分の部屋に戻る。
何時間も何時間も、壊れてしまった家族のことを考えた。
無理して笑う、思っていたよりも小さく感じたパパの背中を思った。
深春のことを考える。
今頃一緒にベッドの中で毛布にくるまって、くだらない話をして、いっぱい好きだって言って、キスをして眠る。
そんな幸せな夢。
現実に起こるはずだった、夢になってしまった二人だけの夜。
どんどん白くなっていく窓の向こう。
眠っていたのかずっと起きていたのかもはっきりとしない思考。
現実は変わっていない。
望んでいない昨日の続きがやってきただけだった。