Amour e’ternel
フランソワーズは自立した大人の女性だ。そんな彼女が時々見せるどこか幼い子どものような仕草に、ルイは胸を高鳴らせる。人の心を揺さぶるのは、彼女の方が上手だ。

(幸せだな)

この幸せを絶望に突き落とされてあの日から、ずっと探し続けていた。やっと、否、ずっと前からその幸せを掴んでいたのだ。フランソワーズと出会ったあの日から、ルイの人生に幸せが少しずつ降ってきていた。

(フランソワーズは、僕の幸運の女神だったりして)

地球にいる七十五億人の中から巡り逢えた運命の人と出会った日が、ルイの頭に浮かんだ。



寒い冬がようやく終わりを告げ、花々が咲き、温かな陽が街に差し込む春のある日のこと、ルイは公園のベンチに一人で座り込んでいた。

一見、散歩中に休憩しているように見えるが、ルイの表情は春の穏やかなひと時を楽しんでいる表情ではない。疲れ切った様子で、目は光を宿しておらず、体もやつれている。

この公園は、春になると美しい桜の花が咲く。近くにあるエッフェル塔と美しい桜のコラボレーションが見えることで人気で、多くの人が公園で写真を撮っていた。そんな中、ルイはため息をつく。
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