椅子こん!
「好きぃ……大好きだよぉ……」
思いが溢れる。抑えきれない。
もう、自分ではどうにもならないくらいに椅子のことが好きなのだ。
私は彼に恋をしているのだと、わかっているのに何度も確認する。
他人から否定された傷跡を、目の前にある幸せと重ねて埋めるみたいに。
見慣れた木肌。涼しそうな木の顔。見ていると自然と頬が熱くなる。
「ガタッ……!」
ガタガタ、椅子さんが揺れるたびに、木の音が響き渡った。
「ひゃうっ!?そんな急に強くしないでぇ……!」
更に激しくなる動き。気持ち良すぎておかしくなりそうだ。
「やぁっ……」
椅子さん、椅子さん、椅子さん。
最初に恋人届を出したときは、対物性愛なんて認めないって、跳ねのけられたね。
みんなの前で晒し者にされて、笑われて。外に貼り出されたりもあった。
それでも、やっぱり私、椅子のこと、諦められなかった。