椅子こん!
「会長────」
会長室がノックされたとき、会長はお茶を飲んでいた。仕事の合間を縫った束の間のひとときだ。まだまだヒューマン以外の種族や、異常性癖の持ち主の洗い出しは終わっていない。
「入りなさい」
会長は目の前のドアを見ながら淡々と呟く。
「戸籍などを調べに資料室に行っていたのですが、こんなものが────」
目の前に居る男の表情は眼鏡によりよく見えない。彼は分厚い一冊の本を会長に向けた。