青の先で、きみを待つ。
『え? あかりなにしてるの?』
『まりえ、さすがにやり過ぎだよ』
だから私は市川さんを助けた。
この日もまりえは市川さんにゴミ箱を投げつけていた。中に入ってた生ゴミを食べろと命令する彼女のことを私は止めた。
まりえのことは親友だと思っているし、今も大切だ。でも、ストレス発散のように市川さんのことをいじめている顔が悪魔に見えた日もあった。
『こんなことはもうやめなよ。まりえは人を傷つける人じゃなかったでしょ? いじめなんてやめて楽しく学校生活を送ろうよ。ね?』
誰も言えないのなら、私が言う。
まりえならわかってくれる。きっと元に戻ってくれるはずだと信じていた。
『あかり。あんたってそういうところがあるよね』
『え?』
言葉と同時に、手に持っていたジュースの缶を投げられた。それが勢いよく私の頬をかすめていく。
ドクン、ドクンと、心臓がものすごい速さで動いていた。
一瞬、なにが起きたのかわからなかったけれど、まりえは今、缶を私に当てようとしていた。
『……ま、まりえ?』
彼女の瞳は、まるでナイフのように鋭かった。
『あんたさ、いつも私の後を金魚のフンみたいに付いてくるだけだったのに、こういう時だけ正義の味方みたいな顔するのやめてくれない?』
『私はべつに……』
『本当、マジでうざいよ』
……まさかそんなふうに言われるなんて想像もしていなかった。天地がひっくり返ったように頭が真っ白になった。