青の先で、きみを待つ。
「おい、急に起き上がるなよ」
声がしたほうを見ると、蒼井がベッドの横に立っていた。
まだ鮮明に残っているさっきの夢のこと。屋外でもないのに私の身体は冷たくて、指先まで震えていた。
「……今、なにかした?」
「してねーよ。保健室に来たらお前が寝ててうなされてるから熱でもあんじゃねーかって今……」
蒼井の右手が行き場をなくしている。もしかしたら、おでこに触れようとしてくれたのかもしれない。
「具合でも悪いの?」
「ちょっと頭痛がひどいだけ。でも、少しだけ寝たから今は大丈夫みたい」
「また仮病じゃねーだろうな」
「違うし。蒼井こそどうせまたサボりでしょ」
「俺は今日は一日ちゃんと授業受けたけど」
「へえ、そうですか。どうせ寝てたんじゃないの。それは授業を受けたって言わないって……
ん?」
なんだか彼の言葉に違和感を覚える。確認するように、窓を見ると、いつの間にか雨が止んでいて、夕焼け雲が浮かんでいた。
「え、うそ、なんで夕方? 今って何時?」
「三時四十八分」
どうやら私は、ずっと保健室で眠りこけていたようだ。
ベッドの横には頭痛薬が置かれている。おそらく先生も何度か声をかけてくれたと思うけれど、私が起きなかったんだろうと察した。