青の先で、きみを待つ。
◇
次の日。いつものように学校へ行くと校門の前にパトカーが停まっていた。物珍しくスマホを向けている生徒の横を、私は通りすぎる。
……パトカーなんて、なにかあったんだろうか。
不思議に思いながら校舎へと入ると、バリケードでもあるようにみんなの足が止まっていて、廊下ではたくさんの生徒がごった返していた。
「ヤバくない? ってか前にもこんなことがあったよね」
「あったあった! だってあの時さ……」
喧騒としてる空間で、飛び交っている会話が耳に届いてくる。私は背伸びをして、生徒たちの波の先に視線を向ける。
そこには廊下一面に書かれた落書きが広がっていた。スプレーかなにかだろうか。学校では絶対に目にすることがないカラフルな色で、壁も天井も窓もひどい有り様。さらに被害は教室の中まで及んでいるようだ。
「被害を受けたのは二年生の階だけなんですね?」
「はい。教員全員で確認してきましたが、落書きはこの階だけでした」
警察の人と先生が、深刻そうに話している。
かなりの大事だと思うけれど、いつもとは違う非日常を楽しんでいるかのように、生徒たちはやっぱり写真を撮っていた。
「はい。みんな静かに! とりあえず今日は教室には入らないでください。各クラスの担任から指示があるので、すみやかに従って動いてください」
学年主任の先生が、生徒たちに向けて叫んでいた。
私たちはそのとおり教室を通過して、科学室や音楽室、視聴覚室などに振り分けられることになり、うちのクラスは家庭科室を使うことになった。