青の先で、きみを待つ。



もうなんなの、なんなの?

彼の性格は知ってるけれど、自分のことでしょって思う。

なのにずっと他人事みたいな態度をされて、思わずキレそうになってしまった。

結局、被害に遭った人は個別で警察の人に呼ばれて詳細を確認されたらしいけれど、怪しく思う人物で蒼井の名前を上げた人は少なくなかったそうだ。

たしか以前、テレビで見たことがある。

みんなが同じ意見で手を挙げたら、たとえ自分だけ違うと思っていても、同じように手を挙げてしまう現象があるって。今回はまさにそれに近い。

彼がやったという証拠はなにひとつないというのに、ひとりが言い出すと私も俺もって、流される。本当に適当な人が多すぎて、言葉もない。


「すみません。チョコバナナクレープひとつください」

放課後。少しでもイラつきを抑えようと駅前のクレープ屋に立ち寄った。

今日はどか食いをしてやろうと思っていたけれど、さすがにふたつ食べられるほど私は甘党ではない。

「つーか、これって本物?」

「さあ、でも高そうなやつは全部売りに行こうぜ」

ふっと目線を向けると、バイクに股がっている三人組の男がいた。口にタバコをくわえていて、一目でガラが悪いとわかる風貌をしている。

その男たちは、なにやら財布を数個ほど所持している。おかしいのが、どれも女性ものであり、明らかにこの人たちが持つものではないということだ。

っていうか、あれって……。

私はブランド物に興味はないけれど、たしかクラスの女子が自慢していたものと同じだ。海外にしか売ってない限定ものだと言ってた気がする。

まさか……と思いながらよく観察してみると、男たちの手にスプレーのインクが付着していた。

間違いない。彼らが犯人だ。


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