青の先で、きみを待つ。
「いやいや、俺らなんにもしてねーし。なあ?」
「そうそう。この女が勝手に絡んできたんだよ」
……絡んでないし。蒼井が事情を求めるように私に視線を送ってきたので、ありのままの経緯をこの場で伝えた。
「この人たちが持ってる財布はクラスの女子のものなの。それに指にスプレーが付いてるでしょ? だから絶対に……」
私が言い終わる前に、彼は深いため息をついた。そしてそのまま手を強い力で引かれる。
「いいから来い」
「え、でもまだ……」
なんで蒼井は男たちになにも言わないの?
もしこいつらが犯人だったら自分の疑惑が晴れるというのに。
「あ、おせーよ!」
すると、またもや別の男が現れた。この人たちの仲間なのかは知らないけれど、見た目は黒髪で短髪と、好青年の印象を与えるような人だった。
保坂と呼ばれた男の視線が、私たちのほうへと向く。
「あれ、蒼井くんじゃん。久しぶり」
……まさか、知り合い?
「元気? 再会の記念にタバコでも買ってあげようか? あ、でも制服じゃまずいよね」
親しげな様子だけれど、蒼井の顔が強張っていた。
「わかってると思うけど余計なことだけはしないでね? あ、でも蒼井くんには立派なお父様が付いてるからなんでも揉み消してくれるもんね? 恵まれてるよね、本当に」
蒼井はそんな煽りにも耳を傾けずに私を連れて、そのまま男たちから離れた。