青の先で、きみを待つ。
「ちょっと痛いんだけどっ!」
やっと解放されたのは大通りの公園だった。小学生や子供連れの親子が噴水の前で遊んでいる中で、蒼井だけがまだ怖い顔をしている。
「なんで余計なことしてんの?」
「よ、余計なこと?」
「お前が犯人探しをする必要はないって話だよ」
「でもあいつら絶対に怪しいよ! 逃げちゃうかもしれないし、財布も売るって言ってたから証拠もなくなる。そうなる前に警察に突き出さないと……」
「だから、なんでお前がムキになんの? 関係ないだろ。別に被害に受けたわけでもないのに、探偵気取りかよ」
なにそれ。たしかに私は直接あいつらになにかをされたわけじゃない。でも、犯人が捕まらない限り、この話題は終わらない。
ただでさえ絶好のネタになっているというのに、私はこれ以上みんなが面白おかしく噂することを聞きたくない。
「蒼井は犯人扱いされて悔しくないの? あの人たちと知り合いみたいだったし、本当はあいつらがやったってあんたもわかってるんじゃないの?」
蒼井はなにに対しても無関心だけれど、あんなふうにヘラヘラしたような態度を向けてくる人を許すはずがない。
なのに、彼はなにも言い返さなかった。
まるで、強い言葉を使えない理由があるように。
「ここは現実じゃねーんだよ。こんなところでまじになって、なんの意味があんの? どうでもいいんだよ。犯人扱いされようとなんだってな」
「……逃げ癖がついてるのはそっちじゃん」
「は?」
「私には逃げんなって前を向かせといて、自分だけ背を向けるなんてズルいよ……」
こんなに必死にさせといて、そういう存在にさせといて。
私には関係ないと冷たく突き放されたことが、寂しくて仕方なかった。