青の先で、きみを待つ。



どいつもこいつも表面しか見ようとしない。誰かを蹴落とすことで力を手に入れたような、優位に立ったような勘違いを起こして、平気で人を傷つける。

たしかに蒼井は素行も悪いし口も乱暴だ。けれど、誰かを(おとし)めることは絶対にしない。

私が悩んで苦しんでいる時、彼は何度も立ち上がる言葉をくれた。

きっとそんなこと、ここにいる誰も真似できない。

自分の素顔を隠して優等生の仮面を被った保坂には、逆立ちしても手に入れられない優しさを蒼井は持っている。

そんな彼をバカにすることを私は絶対に許さない。

例え百人が敵になっても、私は私のことを理解してくれるたったひとりの人がいればいい。

それだけで誰よりも強くなれる。


「……蒼井は犯人じゃないっ!!」

息を深く吸い込んで、大声で叫んだ。

みんなの視線が一斉に集まる。私はそんなことに目もくれずに、保坂幸成の前へと歩き進んだ。

「あんたが指示をしてやらせたんでしょ?」

私の顔を見てピクリと彼の眉が上がったけれど、すぐにまた気持ち悪い笑顔に戻った。

「指示? 僕が?」

まさかというふうに笑いまで誘っている。周りもなに言ってんのという感じで冷めた顔をしてるし、クスクス笑ってる人もいた。

でも私はそんなのでは(ひる)まない。


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