青の先で、きみを待つ。
「一年前もそうやって蒼井を犯人にしたんでしょ? そんなことをして楽しいの?」
「きみはなにを言ってるの? 以前一方的に蒼井くんに殴られそうになったことはあるけど、彼とは一度も話したことはないよ。なにか勘違いをしてるのかな?」
保坂は私を宥めるような口調だった。きっとどんなことを言われても自分が不利になることはないという余裕があるんだろう。
「話したことはない? 昨日自分から久しぶりって蒼井に声をかけたのに? たしか再会の記念にタバコを買ってあげるとか言ってましたよね?」
私の言葉に周りがざわついていた。
「はは、タバコ? そんな体に害があるものなんて触ったこともないし、僕がそんなことを言うはずもない。そうですよね、先生方?」
「そうだね。きみは保坂くんに似た人と喋ったんじゃないのかい?」
まるで私が勘違いをしてるかのように言ってきたのは、保坂のことを信用しきっている校長先生だった。
現実でも、この世界でも、理不尽なことは変わらない。
だけど逃げたいと思わないのは自分の正義のほうが正しいと胸を張って言えるからだ。