青の先で、きみを待つ。
「じゃあ、逆に蒼井くんが犯人じゃないっていう証拠はあるのかな?」
「証拠もなにも昨日の放課後、私と蒼井は一緒にいた。事件が起きる前から蒼井の行動は見てるし、帰りだってその背中を見送りました」
今まで人目を気にして、蒼井とはいつも誰もいない場所で話をしていた。
私は私のことをどう思われているのか気になるし、悪く言われることも、噂話の対象にもなりたくない。
だけど私は彼に言われた。
勝手にいなくなってくやつらなんて追いかけるなって。そんなのお前から捨ててやれって。
本当にそのとおりだよ。
どうしたら嫌われないか考えるより、どうしたって嫌いになれない人を。
変わったものを見つけるより、変わらないものを見つけるほうがずっと大切なんだって、私は遅いかもしれないけれど、彼から、そしてこの世界から学んだ。
「はは、そんなのはなんの証拠にもならないよ? きみも共犯者って可能性もあるし、第一僕が事件を起こす理由がない。そうだろう?」
私はずっと考えていた。なんで保坂は仲間に頼んであんなことをして、すべてのことを蒼井のせいにしたんだろうかって。
頭脳明晰で結果も出していて、尚且つ信頼も手に入れている彼が、なんでそこまでして蒼井にこだわる必要があったんだろうって。
でも私は保坂が蒼井に放った『恵まれてる』という言葉に答えがあると思っている。
「羨ましかったんでしょ?」
「え……?」
「蒼井のことが、羨ましかったんじゃないの?」
蒼井と保坂は見た目も中身も正反対だ。けれど、周りの期待に応え続けている保坂とは違い、蒼井は期待をことごとく裏切りながらも、その存在感で一目置かれている。