青の先で、きみを待つ。
「お前さ、俺のことが気に食わないみたいだけど、正直どうでもいいっていうか俺、お前に興味ないんだわ」
「………」
「だから勝手に頑張って」
そう言うと蒼井は殴るどころか、そのまま手を下ろした。
「帰るぞ、ブス」
「え、わ、私?」
「他に誰がいんだよ、行こうぜ」
蒼井は、自分の強さを見せつけることはしない。わかる人だけが、わかってくれたらいい。
こういうブレないところが、最高にカッコいい。
「お前はいいよな! 勉強しなくても悪さしても、安定した未来が待ってるんだからさ!」
「………」
「おい、なんとか言えよ!」
「バカじゃないの?」
それに答えたのは私だった。
蒼井がなにもしないでお父さんの決めた将来でいいって思えていたら出来損ないだって言われて傷ついたりしない。
すでに決められた道なんて進みたくないから彼は彼なりに反抗してるのだ。
「勘違いもいい加減にして。蒼井の将来は蒼井が決めるしあんたには関係ない。だからもう二度と蒼井に関わらないで!」
「行こう」と、今度は私が蒼井の手を引く。こんなに喉を使ったのはいつ以来だろうか。
明日には枯れているかもしれない。それでも今は清々しさのほうが勝っている。