青の先で、きみを待つ。



その帰り道。私たちはしばらく無言で歩いていた。もう離れていいはずなのにタイミングを見失ってしまい、私は彼の手を掴んだままだ。

「なんで震えてんの?」

「え……?」

そう蒼井に言われて、自分の身体がわずかに揺れていることに気づいた。

なんでだろう。今になって、とても心臓がバクバクしてる。

「私、また余計なことしちゃったかな?」

「そうだな」

「ごめん、勝手に」

「勝手にやったことなら礼は言わなくていい?」 

「え、う、うん。別にいいけど、そんなのは」

「嘘だよ、サンキュ」

蒼井が、笑った。からかったり、ふざけたりする感じじゃなくて、彼が見せた初めての嬉しいって顔だった。

つい、見とれてしまって時間が止まる。

私……もしかして、蒼井にドキドキしてる? まさか、まさかね。


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