青の先で、きみを待つ。
気持ちを切り替えるために、私たちは再び歩き出す。
「……今回のことは現実世界に反映されたりしないのかな?」
「さあな」
この二回目の事件は、ここだけの出来事かもしれない。そしたら保坂は現実でも優秀な生徒のままだし、去年着せられた蒼井の濡れ衣だって、そのままというわけだ。
「だから言ってんじゃん。ここでいくら頑張っても意味はねーって」
「………」
「周りは簡単には変わらない。だったら、自分が変わったほうが早いってことに、お前を見て気づいたよ」
蒼井がニヤっと、瞳を細めた。
「それって、私のこと褒めてる?」
「うん。お前はやっぱすげえやつだよ」
蒼井に言われると、力が湧いてくる。だから、彼のほうがすげえやつだと私は思う。
「俺は誰のことも信じないけど、お前のことなら信じてもいいと思ったよ」
あれ、なんだかまた泣きそう。
私も、蒼井のことなら信じられる。
最初は大嫌いだったけれど、なんだこいつって思ったことは数えきれないけれど、今は彼に対して名前がつけられない特別な感情が芽生え始めていた。