青の先で、きみを待つ。
午後の授業を受けてる間も私は透明になった手や足を何度も見返していた。肌の感触はあるし、つねれば痛みも感じる。
でもさっきのは気のせいなんかじゃなかった。
ここは現実じゃないし、私がここにいること自体に説明はつかないから、半透明になった現象もなんとなく受け入れられる。
でも、それってどういうこと?
もしすべてが透明になったら私は消えるの?
この世界からいなくなるってこと?
消えたらどこに行くの?
それこそあの世とか?
今までこんな現象なんて起きたことがなかったのに、なんで突然こんなことが起こったんだろうか。
もしかして最初からタイムリミットがあったとか?
やっぱり蒼井に相談するべき?
ひとりで頭を抱えていると、「あかり」と久しぶりに誰かに名前を呼ばれた。びっくりして振り向くと、そこには美保がいた。
「ノート。提出まだでしょ?」
どうやら唸っているうちに、授業が終わっていたらしい。そういえば今日の日直って美保だったっけ。
「ご、ごめん。はい」
美保は相変わらず沙織が率いるグループにいる。最初の頃は集まって私のことを話してるんじゃないかと怯えていたけれど、最近は笑い声が聞こえてきても、そんなに気にならなくなってきた。
ノートを渡しても、美保は私の机から立ち去ろうとしない。その顔はなにかを言いたそうにしていた。もしかして蒼井のことだろうか?
「あ、あのさ、あかり……」
彼女が言いかけたところで、「美保、これウケるから見て!」と、沙織が呼んでいた。
美保はすかさず沙織の元へと行ってしまったので、言いかけたことがなんだったのかはわからなかった。