青の先で、きみを待つ。
◇
その日の放課後。私の足は自然と裏庭に向かっていた。
あれから忙しくて見に来れていなかったけれど、植えた花がどうなったかずっと気になっていた。
するとそこには先客がいて、もちろんそれは橋本さんだった。
「紺野さん。私も今来たんだけどちょっとここを見て」
橋本さんが嬉しそうに指さす先には小さな芽があった。生まれたての青々とした緑がとても綺麗に見える。
「わあ、無事に顔を出したんだね!」
「うん。可愛いよね」
「花はいつ頃咲くかな?」
「気候にもよるけど梅雨前にはきっと咲くと思うよ」
……梅雨前か。
考えたことはなかったけれど、私っていつまでここにいられるのかな。私がいなくなったらこの世界も同時に消えるんだろうか……?
それが寂しいと感じてしまうってことは、少なからず私はここの環境や生活に慣れてきてしまったんだと思う。
「ねえ、橋本さん」
きっと今から言うことに意味なんてなくて、これはただ自分の気持ちを晴らしたいだけかもしれない。
でも後で言っておけばよかったと後悔だけはしたくないから、ちゃんと伝えておく。
「前に辛いことがあったって言ったでしょ? 私ね、いじめられてる人を助けて、自分がいじめの対象になったことがあるんだ。だからずっとなんであんなことをしちゃったんだろうって思ってたし、私をいじめた人を恨んでた」