青の先で、きみを待つ。
彼女たちは、白い菊がどんな意味だかわかっているんだろうか。
みんな面白おかしく笑って、自分じゃなきゃいいみたいな顔をして。いじめなんかで人が死ぬわけないって思っているんでしょ?
そんなの大きな間違いだ。
やってる本人たちにとっては、ただの遊びの延長なのかもしれない。
何年か後にはそんなことやってたっけって、記憶にも残っていないような。ナイフのように鋭く尖った暴言でさえ、覚えていないことなのかもしれない。
そのぐらい大したことではないと。こんなのはただの暇潰しにすぎないと考えているのかもしれないけれど……いじめで人は死ぬよ。
消えたい、もう生きるのが辛いって、そう思ってしまうくらいに、いじめは残酷なことだ。
凶器で傷つけたわけじゃないから罪にならない?
人を殺したわけじゃないから捕まらないって思ってる?
もう一回言う。
いじめで人は死ぬんだよ。
臆病で血を見るだけで貧血になってた私があの高い屋上から飛び降りることができた。
怖さよりももっと強いなにかが私の背中を押した。
他人から診れば私は自殺なんてバカだよねって。いじめぐらいで死ぬなんて弱いよねって、そう言われているのかもしれない。
だけど追い詰められた私には、それにすがるしかなかった。
逃げ道を塞いで居場所をなくすのがいじめ。
自分の存在を否定されるのがいじめ。
私はもう私みたいな人を見たくない。
いじめは絶対に許さない。
「やめなよ」
私は橋本さんの机に置かれた花瓶を持って、菊の花を投げ捨てた。