青の先で、きみを待つ。
「おい、ブス」
涙で視界が滲んでいる中で、蒼井と目が合った。本当は余裕がないくせに、口元はいつものように笑っている。
「なによ、バカ!」
元はといえば蒼井がこんな場所に立てなんて言うのが悪いんだ。
いつだって計画性がないし、私の意見は聞いてくれないし、そういう勝手なところが、最初から本当に変わらない。
腹がたつ。
ムカついてる。
でも、感謝してる。
何度言っても足りないくらいに。
「お前から何度もされた俺たちは死んだのかって質問。今教えてやる」
「もう、なんで今なの?」
「……いつも誤魔化してたけど」
「なに? もっと大きな声じゃないと聞こえない!」
「いつも誤魔化してたけど! 本当は死んでなければいいって思ってた。だって助けたくて一緒に落ちたのに、助けられなかったなんてカッコわりーじゃん!」
もう、本当にバカじゃないの。
なんでそれを今言うの?
いつもみたいに痴話喧嘩でいいから言い返したいのに、声にならない。
蒼井が助けようとしてくれた命。
その命が私を呼んでいるのなら、拒む理由はない。
寂しいけれど、怖いけれど、捨てても構わないと思っていた命だったけれど、今はそれが愛しくて大切だ。
ごめんね。一度はバカなことをしてしまったけれど、もう一回私にチャンスをくれる?