青の先で、きみを待つ。



「あかりー!」

ゴールをすると美保がすぐさま寄ってきてくれた。その額に汗が滲んでいないことから、かなり前に走り終わっていたことがわかる。

「美保ー、私、もうダメ」

「そっか、よしよし。水でも飲みにいく?」

「今はちょっと座りたいかも」

大嫌いはマラソンは予想以上に疲れた。でもこんなにも心がきついのは、橋本さんに対して申し訳ない気持ちでいっぱいだからだ。

こんなことなら無理をしてでも、美保に付いて行けば良かった。そしたら具合が悪そうな橋本さんにも、沙織たちとも会わなくて済んだかもしれないのに。

「授業のチャイムが鳴るまでは休憩してていいって先生が言ってたよ。ってか先生だけチャリとかズルすぎだよね。なんかヘルニア持ちらしいよー?」

美保の声がぼんやりとしか耳に入ってこない。

橋本さんはゴールしたのかな……。あのまま動けずにいたらどうしよう。

先生に確認するべきだろうか。でも先生の近くには沙織たちがいる。

どうにもならない。どうにかできない。

もどかしい気持ちを反映するように、また頭が痛くなってきた。

やっぱりこれって、精神的なことと繋がっているのかな。なんとなく心が乱れたりすると表れている気がする。

「あ、そういえばさー」

美保がなにかを言いかけた時、私の視線は〝あるもの〟を捕らえた。そこから目が離せなくて気づけば勢いよく立ち上がっていた。

「え? あかり、どうしたの?」

「ごめん、ちょっと……!」

美保に詳しい説明をしないまま、私はまた走り出した。


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