青の先で、きみを待つ。
それから、夕飯もお風呂も済ませて、いつものリラックスタイムが始まった。自分の好きな香りのアロマを焚いて、ベッドに寝転びながらファッション雑誌を見るのが至福の時間だったりする。
と、その時。ドアをノックする音が響いた。
「はーい?」
「お父さんだ。開けるぞ」
遅くなると言っていたお父さんは今帰ってきたようで、洋服もスーツのままだった。
「風邪気味なんだって? 熱は?」
「風邪っていうか体が少しだるいだけ。熱もないし早めに寝るから大丈夫だよ」
お父さんはかなりの心配症だ。私が指先を軽く切っただけで病院に行こうと慌てるぐらいに。たぶん一人娘だし、私のことが可愛いんだろうなあと自分で言ってみる。
「そうか。念のため風邪薬を飲んで寝なさい」
「うん」
「あ、それと」
「?」
「さっきうちの周りをウロウロしてる不審な人がいたからあんまりひとりで出歩くなよ。最近物騒な事件も多いし」
不審な人? そういえば先生も不審者には気を付けろって言ってたっけ。
「暗くて顔は見えなかったけど若そうな男だったよ。帰りは友達と帰ってくるか時間を合わせてお母さんに迎えにきてもらいなさい。何かあると心配だから」
「うん、わかったよ」
返事はしたものの、今まで変な人に遭遇したことはないし、きっと大丈夫だろうとあまり重く受け止めずに、再びファッション雑誌を開いた。