青の先で、きみを待つ。
「ってか、あんたの家ってこっちだったの?」
「全然逆。昨日ネカフェに泊まってそのまま来たから」
ネットカフェ? もしかして駅前の?
たしかにあそこは漫画や食べ物が豊富にあって、寝泊まりに利用してる人はたくさんいるけど……。
「でも、そういうのって普通、次の日が休みの時に行くんじゃないの? 逆に疲れそう」
「疲れはしないけど、足伸ばせなかったから体が痛てえ」
「あー、あんたって無駄に背が高いもんね」
「お前はチビだよな。今時の中学生のほうが色気あんのに虚しくならない?」
「は? ならないし!」
「ぼっちになって暇なら後で肩くらい揉ませてやるよ」
「なってないから! まだ、その一応、うん。ひとりにはなってない」
「へえ、なら、よかったじゃん」
あれ、一応遠回しに心配してくれたのかな。
私は、美保の橋本さんと関わらないでという忠告を守っている。それによって、私の生活は守られた。
だから今もひとりにはなっていない。
でも、本当にこれでよかったんだろうかと考える。
前は学校が楽しくて仕方なかったけれど、今はちっとも楽しくない。
友達はいるし、私の日常は変わっていないというのに、前みたいに心から笑えなくなっていた。
「蒼井は最近変わったこととかないの?」
「ねぇな」
「私また変な声が頭の中で聞こえたよ。しかもすっごい嫌なことだった」
「どんな内容?」
「それは……言いたくない」
「お前、喧嘩売ってんの?」
「と、とにかく今は言いたくないのっ!」
自分で話を振っておきながら、私は身勝手なことを返す。蒼井は「なんだそれ」と言いながら、呆れていた。