青の先で、きみを待つ。

「う、うん。なに話す？」

果たして沙織と上手く会話を繋げることができるんだろうか。失敗はできないと、私は一気に緊張していた。

「あかりって今、彼氏とかいる？」

「い、いないよ」

「一回も？」

「うん」

「欲しくないの？」

「ど、どうかな。わかんないけど」

恋愛トークは苦手だ。自分に経験がないからなにを聞かれても話に乗れないし、そもそも男を取っ替え引っ替えしていて、派手な交遊関係を持っている沙織の話は、大体私には合わない。

「あかりってぶっちゃけ私のこと苦手っしょ？」

「……え？」

その言葉に思わず固まった。同時に心臓がバクバクとしている。

すぐさま「そんなことはないよ」と否定しようとしたけれど、あまりに図星を突かれてしまったため、反応が遅れてしまった。

「わ、私はその……」

「べつにそんな怯えなくてもいいよ。怒ったりしないし、性格に難ありってことは自分でもわかってることだからさ」

……意外だった。

沙織は女王様気質だから、自分のそういうところは見えてないと思っていたし、周りからそう思われるのも許せない人だと思っていた。

「私って自己中だから、私のことを苦手で嫌いって思ってる人でも、私が仲良くしたい人とは喋りたいんだよね。だから私のことが苦手でも私はあかりのこと友達だと思ってるからね」

ニコリと優しく笑う沙織を初めて見た。

こんなことで沙織に対する印象が変わってしまう私はやっぱり単純というか……。

自分の意思がとことん弱くて、流されやすいタイプなんだと自覚した。