青の先で、きみを待つ。
そして昼休みを迎えた。今日はお母さんのお弁当が間に合わなかったので購買を利用することにした。
「一緒に行こうか?」
美保はすでに教室で美味しそうなお弁当を広げている。
「ひとりで大丈夫。すぐ買えそうなおにぎりにするからさ」
「わかった。いってらっしゃい」
美保に見送られて廊下に出る。しばらくして、スカートのポケットの中でスマホが振動していた。画面を確認すると、知らないアイコンがトークアプリの画面に表示されている。
誰だろうと、開くと【保健室 飲み物 三分以内】と、まるで指令のような文が打たれていた。
……え、なにこれ?
送り主の名前は〝Aoi〟とされている。あおいってまさか……蒼井!?
メッセージの内容からして、間違いないけれど、私は彼と連絡を交換した覚えはない。
こんな一方的な命令に従う理由もないけれど、気になってしまい、気づけば私は指定された保健室へと向かっていた。
「お、マジで三分以内に来た。偉い、偉い。で、飲み物は?」
彼は大仏のようにベッドに寝転んでいる。
何様かなと思いつつ、私もわざわざ走ってきてしまったし、知らず知らずのうちに蒼井のペースに巻き込まれているんじゃないかと悔しくなった。
「飲み物なんてあるわけないでしょ。ってかなんで私の連絡先を知ってるの?」
「ああ、お前がスマホ忘れた時にID調べておいた」
「は、え? 勝手に?」
「うん」
「信じらんない……」
あくまでスマホに触ったのは連絡を交換するためであって、他のところは見てないと言っているけれど、それもどうか怪しい。
腹は立つけれど、とくに見られて困るものはないし、彼の連絡を私も知っていたほうがこの先なにかと便利だろうと、しぶしぶ許してあげた。