青の先で、きみを待つ。
おぼろげに思い出す現実の私は、とても苦しんでいる。それに比べたら、今がとても快適に思えるほどに。
人間関係で色々あっても、ここでは誰にも傷つけられないし、私のことを嫌ってる人もいない。
だから、私はもうひとりの私のことを知ることが、とても怖いのだ。
「どんなにここの居心地よく感じても、ここはお前にとって都合がいいだけの世界なんだよ」
蒼井が力強い口調で言った。
……都合のいい世界、か。
ということは、それを逆手に取れば、今ここで性格や容姿が真逆になっている人たちは、現実世界では私にとって都合が悪かった人たちということだ。
「もしかして私って、かなり蒼井のこと巻き込んじゃってる?」
「もしかしてじゃなくて、確実にな」
「私と一緒に屋上から落ちたから、蒼井も私と一緒にこの世界に来たっていう認識で合ってる?」
「お前にしては、合ってるよ」
少なからず、蒼井は現実世界の私と会ってるわけだから、親しくしてなかったとしても、私の〝最後〟を知っているということだ。