青の先で、きみを待つ。
『お母さんご飯は……』
『あんたも自分のことは自分でやりなさい! 私はもう疲れたわ。ひとりにしてちょうだい』
散らかった部屋。山積みになった食器と、毎日増えていくカップラーメンのゴミ。
『私たち離婚することにしたから。あの人は荷物をまとめて出て行ったし、これからは二人暮らしよ』
『そんな……お父さんはどこにいったの?』
『あんたもいちいちうるさいわね! もうあの人はお父さんじゃなのよ。二度と口にしないで』
壊れてしまった家族の形。私だって家族だったはずなのに、自分が知らない間にどんどん話が進んでいく。
『あの人の名字を名乗るのも嫌だから、私の旧姓に戻すからね』
『それって紺野から辻本になるってこと? ちょ、ちょっと待ってよ。今変えると学校の手続きとかもあるし……。それにね、私行きたい大学があるの。奨学金で行くつもりだし勉強に集中したいからもう少し待って……』
『なんであんたもそうやって私の言うとおりにしてくれないの?』
『………』
『大学? 奨学金? 奨学金ってね、借金と同じなのよ? 後々返せなかったら親が責任をとらなきゃいけないの。なんであんたまで私に迷惑をかけようとするの?』
『………』
『もう、本当に、結婚も子供も失敗だったわ』
学校にも家にも私の居場所はどこにもない。
ああ、どこか遠くに行きたい。もうなにもかも嫌になってしまった。
死にたいというより、生きていたくない。
全部全部、私の存在ごと消えてしまえばいいんだ。