青の先で、きみを待つ。



結局、先生が一方的に決めてしまったまま、実行委員は市川さんがやることになった。

彼女が提案してきた遠足のプランはバードウォッチングと風景のスケッチを描くこと。もちろんみんなは反対していたけれど、先生はそれすらも聞き入れてはくれなかった。

『なんなの、あれ。超つまんないんですけど!』

『絶対にまりえがやったほうがいいのに! 今から抗議しに行こうよ』

女子たちが一致団結してる中で、まりえだけは冷静な対応をとっていた。

『本気でやりたかったわけじゃないし、抗議なんていいから、みんなで楽しい話でもしようよ』

まりえが言うのならと、みんな職員室に向かうことをやめる。

私もバードウォッチングや風景のスケッチはやりたくないけれど、考えてみれば遠足なんてたった半日だし、そんなに熱くならなくていいのにと、内心は思っていた。

『よー橋本!』

そして教室移動の時。廊下で男子が声をかけてきた。それはまりえが気になってる男の子だった。

まりえは男友達のひとり、なんて口を濁しているけれど、明らかに恋心があることはわかっていた。

『なに飲んでんの? もしかしてそれって新発売のやつ?』

『そうだよ。飲みたい?』

『うん。飲む、飲む!』

まりえは自分の飲みかけのジュースを男の子に渡していて、彼もまた躊躇なく口をつけていた。

もしかして、ふたりは両想い? そうだったら微笑ましいなと考えていると……。

『あ、そうそう。俺ら遠足の時に川で釣りをやることにしたんだ。向こうで釣り竿とか貸してくれる場所があるみたいでさ!』

男の子が思い出したように言った。


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