青の先で、きみを待つ。
『ってか市川さんが提案した遠足なんて行きたくなくない?』
まりえの怒りは彼ではなく、市川さんへと向けられた。
発言力があるまりえが言えば、みんなはすぐに乗っかる。案の定、クラスの女子たちは火がついたように不満を言い始めた。
『つまんないってわかってるのに行きたくないよね? 本当にやることのセンスがないっていうか、だったら濱田とふたりでやればって感じ』
『わかる! あんな遠足に参加したって時間の無駄だし、当日はみんなでボイコットしようよ』
『それいいねっ! カラオケとか行ったほうが断然楽しいしね』
言い出しっぺはまりえなのに、その後の会話には入らなくて、みんなが言ってるのを彼女は満足そうに聞いていた。
……こんな大声で言ったら、本人に聞こえちゃうんじゃないの?
心配になって市川さんのことを見ると、やっぱり声は丸聞こえのようで、とても気まずい顔をしていた。
『いつもいい子ぶってるけど、本当は濱田とできてるんじゃないの? だってあいつ市川さんにだけ妙に優しいし、怪しくない?』
まりえがそう言うと、女子たちはゲラゲラと笑っていた。
……まりえ、なんで急に?
私は彼女の変貌に付いていけずに、ただただ困惑していた。