青の先で、きみを待つ。
きっと好きだった男子にあんなことを言われて、まりえもショックだったんだと思う。
ムカついた反動で、市川さんに当たっているだけかもしれないと、私はまだ安易に考えていた。
『このアイス、美味しいね』
『うん! 並んだ甲斐があったよね!』
学校が終わり、いつものように彼女と放課後を楽しんでいた。
教室では荒ぶっていた彼女も今ではいつもどおりに戻っている。やっぱりさっきのは一時的な感情だったのかもしれない。
『あかりはさ、遠足行くの?』
『え、い、行くよ? まりえは行かないの?』
『うーん。マジでボイコットもいいかなって思い始めてるところ』
それが冗談なのか本気なのか、私には読み取れない。
『市川さんのこと……怒ってるの?』
『ちょっとね。だってあいつが市川さんのこと可愛いとか言うからさ。ありえないよね。女見る目ないっていうか、一回眼科いけって感じだよ』
やっぱりまりえは、市川さんというより、男子に言われたことを気にしているようだ。
彼女は元から気が強いしプライドも持ってるから、遠回しに自分を下げるようなことを言われて傷付いたんだと思う。
『で、でもさ、市川さんが悪いわけじゃないし。遠足だって、行けば楽しいかもよ?』
『まあ、たしかにね。バーベキューとかはみんなでしたら面白いだろうけど』
『でしょ? 洋服もなに着ていくか考えようよ』
『あー制服じゃないもんね。じゃあ、来週の日曜に一緒に買い物でも行く?』
『いいね、それ! あ、だったらここのランチ食べない? パフェの無料券あるんだ』
『マジ? やったね』
まりえの機嫌が直り、私はホッとしていた。
大丈夫。苛立って誰かに八つ当たりしたくなることは誰にでもあるし、明日にはまた平和な教室に戻っているだろう。