淡雪のように、消えていった。
 冬のミントの香りが、春のそよ風に乗って私をすり抜けてゆく。

 すぐに溶けてしまいそうな雪が、ほろほろと空からこぼれ落ちてきた。

 私はぼんやり、雪の結晶が重なりあっている儚い淡雪を眺め、彼を思い出していた。



 ――お元気ですか?
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