君は、幸せな人魚姫になった
「それでも、俺は青井が好きだ」

「だめだよ、こんな未来のない私なんて……」

「俺が!絶対に治す方法を見つけてみせるから。医者になって、青井のことを治すから。だから、そんな風に言わないでくれ……」

気が付けば、帆高の瞳からも涙が溢れていく。それが何故かは帆高にはわからない。だが、真夏の図書室で二人はしばらく離れることなく、そのままだった。

帆高の告白は断られてしまったのだが、懸命なアプローチを続け、三年生の夏にみずきは折れてくれた。

「私の秘密を知って、そこまで言ってくれるなんて青山くんだけじゃないかな?」

好き、そう照れ臭そうに言った彼女を、帆高は強く抱き締める。互いの優しい心音が伝わる。それは生きている証だ。

「絶対、大切にする」

初めて好きになった人を救う、そう決意して帆高はみずきを見つめた。



両親に何もかも決められていた帆高は、初めて自分のやりたいことやなりたい夢を見つけた。

死に物狂いで努力をし、帆高は医大に入学することができた。みずきも調理師になるために専門学校へ入学し、忙しいながらも二人は時間が会えばデートをした。
< 13 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop