君は、幸せな人魚姫になった

「まだ一緒に生きていたいって、言ってたくせに……！」

泣きながら思わず怒鳴ってしまう。そんな帆高に、みずきの両親が涙を浮かべながら近付く。

「帆高くん」

「そんなに娘を想ってくれて、ありがとう」

二人に頭を下げられ、少しだけ冷静さを取り戻した帆高は、「こちらこそ、ありがとうございます」と何とか言葉を発する。

「これ、あの子があなた宛てに書いたの」

みずきの母に、シンプルな封筒に入った手紙を渡される。その封筒には確かに、「帆高くんへ」と書かれていた。帆高は震える指で封を開ける。


この手紙を読んでいるってことは、私はもうこの世にいないんだね。覚悟していたけど、帆高くんを一人残して逝くのは寂しいな。こんな思いを抱くなら、最初から恋をしなきゃよかったのかな？なんて、そんなこと言ったら帆高くんに怒られそうだけど……。

私がいなくなったら、帆高くんはきっとたくさん泣いてくれるんだと思う。私のこと、いつも考えてくれてたもんね。帆高くんのそういう優しいところが好き。初めての恋があなたでよかった。