君は、幸せな人魚姫になった
でも、いつまでも帆高くんに泣いていてほしくない。だから、帆高くんがまた大切に想える人ができるよう、この手紙を書きます。

人は誠実さが大事。嘘をつくような人に誰も集まらない。でも、生きていれば全然大丈夫じゃないのに、心配をかけたくなくて「大丈夫」って嘘をついてしまうこともある。だから、「できるだけ」嘘のないようにしてね。

そして、人の痛みを自分のことの感じられるように、どんな時も優しい人でいて。誰かに優しくすれば、その優しさはいつか自分に返ってくるはずだから。

そして、帆高くんは誰かに頼るのが下手そうだから、恥ずかしがらずに人に頼ること。自分の背中は自分じゃ見えないんだから。

そして、心を何よりも大切にしてね。心は見えないけど、傷付きやすいから。心の傷は体の傷よりも治りにくいんだよ。

どうか幸せに生きて。私は帆高くんと過ごせて、本当に幸せだった。あなたを好きになれてよかった。恋することを諦めていた私に、最高の愛をくれてありがとう。心から、愛してる。


「ハハッ、母親かよ」

笑ってしまったが、帆高の瞳から涙は出たままだ。むしろ、先ほどよりも泣いてしまっている。
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