離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 日に日に智秋への想いが大きくなって、彼に愛されたいという気持ちが強くなっていた。

 そもそもなぜ、私は智秋にまだ好きだと伝えていないのだったか。

 もう夫婦なのだから伝えてもいい気がする。

 ああ、でもだめかもしれない。それで智秋が私との間に線を引いたら悲しい。

 だが、智秋が優しくしてくれるからもしかしたらと期待するのだ。

『君は俺のものだよ。俺だけの咲良だ』

 あれだって本心からのもので、彼もまた私を愛しているんじゃないかと。

 ほかのどんな内容でもすぐ口にできるのに、たったひと言だけを伝えられない。

「……これが恋愛なんだね、お母さん」

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