離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 智秋との間に夫婦としての愛はないが、私たち家族が幸せなのは間違いなかった。

 こういう効果を狙ってわざと仲のいい夫婦を従業員たちに見せつけていたのかも、と思うのは考えすぎだろうか。もしそうなら智秋はなかなかの策士だと思う。

「ママが倒れたらふーちゃんも智秋も心配するし。だから遠慮なくどうぞ」

「じゃあお言葉に甘えて」

 義母の好意に甘えて午後の休みをもらい、廊下を通りがかる従業員たちと会話を交わしながら楓花のもとへ向かう。

 楓花は義両親の住まいにある、従業員も立ち入る和室であやされていた。

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