離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 その理由はほかにもうふたりが合流するからである。

「遅れちゃってごめんなさい! 道が混んじゃってて大変だったのよ」

 タクシーを降りて慌ててやってきた義母の後ろには、私の母の姿がある。

 なにかと連絡を取り合っていたふたりの母親は私たちの知らないところで意気投合していたらしく、ホテルで落ち合う前に都内の観光を楽しんでいた。

 まっすぐ私のもとに来た母が、智秋と楓香を見てにやっと笑う。

「お久し振り、智秋くん。咲良とは仲良くやってる?」

「仲がよすぎて困るぐらいです。な、咲良」

「最近はふーちゃんに怒られるもんね」

 智秋が私にくっつくと楓花はいつも邪魔をするように泣き出す。
< 183 / 235 >

この作品をシェア

pagetop