離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 初めてたちばなで出会ったときの話をしているのだと気づき、思い出して恥ずかしくなる。

「その話、あんまりしないで。自分でもなんでいきなりあんな失礼なことを言ったんだろうってまだ思ってるの」

「自覚がないのかもしれないけど、咲良は結構なんでもすぐ口にするタイプだよ。例外は〝好き〟だけ」

「でもああいうのは初めてだったの。もしかして無意識に私の答えを誘導してたんじゃない?」

「もしそうなんだとしたら運命かもしれないな」

 智秋がテーブルに肘をつき、顎をのせて私を見る。

 カクテルグラスはいつの間にか空になっていた。

「咲良を好きになりたいからああ言わせたんだろ? じゃあ運命だ」

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